2013年04月30日

ずっと書きたかった「猫と生きる。」


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Photo:Rika Wada-mobiile,inc.


振り返ると、私がWebで日記を書き始めたのはちょうど2000年だった。当時、Webの知識がない一般の人が自在に操れるブログシートはまだなく、Webデザイナーの友人に文字通り原稿をたびたび「入稿」して上げてもらっていたから、今思えばとても贅沢なことをしていたなとなつかしい。それから10年の間、ほぼ毎日休まず日記を書き続けた。その頃の稚拙な文章を見ると本当に恥ずかしくなるのだが、100本ノックのように文章を書き続けた時間は、文章力と頭の中にあるヴィジョンを言葉に変換するスピードを鍛えるのに、これ以上ない、貴重な経験となった。それが、突然途絶えてしまった。2010年の2月の終わりに。

原因は、前愛猫のピキが病気になり、その後まもなく死んでしまったことだった。日記と共に写真も毎日撮ってUPしていたが、まずピキの写真が撮れなくなった。具合の悪そうな愛猫に向ってレンズを向けることは、私にはどうしてもできなかった。そして、病のことをしばらく綴ってはいたものの、本当に末期の頃にはそんなものをUPする気力はどこにも残っていなかった。


当時、日記のファンでいてくださった方々には、病気の最中に記事が途切れ、その死の真相にも触れぬまま、心配をさせてしまったことをずっと申し訳ないと思っていた。それで、せめて最後はどんなふうに召されたのかだけでも書こうした。何度も、何度も。でも、どうしても書けなかった。あの日に降りてゆくことができない。心が硬直して言葉が出てこなくなってしまう。そうして3年が過ぎ、新しい猫たちを迎えることができた今、ようやくこの本を書くに至った。

「猫と生きる。」という潔いタイトル通り、この本は、私の手を引いて人生のある時期を歩いてくれた猫の話を柱にしたエッセイだが、それと同時に、ピキの生きた時間と同時進行していた、失敗ばかりを繰り返す飼い主である私の1/4生記でもある。猫に興味がない方にもぜひ読んで頂きたい。なぜなら「猫と生きる。」の「猫」は「○と生きる。」という風に、様々な置き換えができるから。それは読む人が、一番大切にしている誰かやものかもしれないし、今、頭を悩ませている問題かもしれない。選ぶに選べない状況や、仕事のことや、孤独や切なる想いや、社会的には良しとされなくとも、自分にはどうしても必要なもののことかもしれない。人は誰しもだた「生きる。」ことはできない。かならず大切なものや問題と手を繋いで生きている。その、自分以外のどうにも切り離せない、温かくもやっかいな外的要素こそ、普段は、さも一人で生きているように思ってしまいがちな自分の輪郭を形作ってくれるものなのだ。


どうぞ、この本をひとりでも多くの方が手に取ってくださいますように。そして、人生を選びとってゆくことに不安を覚えていた人が、ひとつでも多くの希望を数えられるようになったら、著者としてこんなに嬉しいことはない。もちろん猫の本でもあるので、通常、旅行レベルでは見ることのできない、フランスの猫事情と、それに呼応した日本の猫事情についても丁寧な取材して、リポートページを設けた。私が取り上げたのはたまたま「猫」だったが、この地球に我が者顔で生きている人間以外の、大切な動物というパートナーについても、みなさんがグローバルでフラットな意見を持つきっかけになったら幸せです。


幸せはいつも自分の足下で、猫のようにうずくまっている。それを知ることで貴方の世界は、きっと無限に広がってゆく。


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「猫と生きる。」
著者/猫沢エミ 辰巳出版 2013年5月13日発売
ISBN978-4-7778-1162-5 C0095
* 書店、Amazonでご予約受付中。 ¥1,680(税込)

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2013年5月31日 18 :00まで。たくさんのご応募、お待ちしています!
 http://www.facebook.com/necozawaemi


posted by 猫沢エミ at 10:26| パリ | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする