2010年06月11日

些細な交通事故と、奇妙なたかりギャルソン。

100611.JPG


本日、メトロ13番線のペルネティに住む、アコーディオニストTACAくんのお宅へ、リハーサルのためお邪魔。その帰りに、愛車モトベカンにて、快調にアレジア駅まで来たところだった。信号待ちをしていて、さて、青になったので発信するか…と思った次の瞬間。うしろから車がどーんと突っ込んできて、5メートルほど前に飛ばされ、バランスを崩してモトベカンごと横倒しになった。一瞬、頭の中が真っ白になるも、すぐに我を取り戻し、ひたいに怒りマークをあらわにしたまま、車の運転手に向かって言った。

「あんた!どこ見てたのよっ!!」

以外にも、運転手は品の良い初老のマダムだった。しかし、品が良かろうが悪かろうが、若かろうが年寄りだろうが、相手は加害者。言うべきことは言わねばはじまらない。最初マダムはフランス人らしく、私は悪くない。なぜあなたは青なのに発信しなかったのか?と文句を並べてきたが、私が反論を開始するのと同じタイミングで、事故を見ていた通行者30人くらいが駆け寄ってきて「僕はちゃんと見てた!彼女はぜんぜん悪くない。あなたが、前を見ていなかっただけだ」と、やんややんやの大騒ぎとなった。30人の野次馬の大半は、学校帰りのギャルソンたちで、口々に「そうだそうだ!彼女は悪くないぞー。」と半ば、偶然目にしたアクシデントを楽しんでいるかのよう。その中で、大人のムッシュ2名が、熱心に事故の仲介?をしてくれて、マダムは最後に「私が悪かったわ。体は大丈夫?ひとまず、壊れた部品の修理にいくらかかるかわからないけれど、お金を渡しておきます。」と、いくばくかのお金を渡された。幸いにも、まっすぐに前へ飛ばされたのと、横からバイクなどの別の車両がこなかったのが幸いして、少し太ももとふくらはぎを打ったくらいで済んだ。ただ、過去に大きな交通事故に2回も遭遇している私の経験では、その場でなんでもなくとも、後で悪くなることもよくあることなので、マダムの連絡先なども教えてもらい、何かあったら対処することにした。交渉人のムッシュが「もう大丈夫だね?」と去った後、最後まで残っていた、あるひとりのギャルソンがマダムに言った。

「あなた、彼女に渡したお金の金額少なすぎやしませんか?僕の父が事故を起こしたときは、示談金はこんなもんじゃすまなかったですよ。」

と、何を思ったのかいきなり新たな交渉を勝手に始めた。少年の意図するところがまるでわからず、しばし話しを聞いていたら最後に「彼女のために(って、誰も頼んでないんですけど。笑)こうして僕が交渉しているわけですし、僕に3ユーロくれたってよくないですか?」あはは!事故に便乗したたかりかよ。思わず私は言った。

「きみ、意地が悪いね。」

とんでもない発言にうろたえたマダムは、一生懸命に、でも私、お金持ちじゃないし、今の手持ちは本当にこれしかないのよ…と言い訳をする始末。マダーム、この交渉に関しては、あなたひとつも悪くないですよ。しっかり!!

 そんなわけで、壊れたテールランプの残骸を拾い集め、心配してくれた道々の人々にお礼を言い、最後に少年にたかられたマダムをフォローし、帰路につく。幸いにも、モトベカンのエンジンにもフレームにも影響はなく、何事もなかったかのように、再びパリの街を駆け出した。しかし、フランス人って、普段ものすごく個人主義のくせして、こうした公の場所での事故だの不正には、積極的に介入するんだよなあ。昔、バスチーユのタクシー乗り場で、ずる抜かしして私のタクシーを奪おうとしたムッシュにも、10人くらいの人たちがつかみかかって反論してくれたのを思い出す。天晴れ!市民パワー。

 ところで、事故。ここでバイクに乗り始めて早7年だけれども、神様が‘初心忘るべからず’って、警告出してるんだろうなあ…なんてことを考えながら、いつもより10倍くらい注意しながら、とっとっとっとっと、走ってゆく。
【関連する記事】
posted by 猫沢エミ at 00:00| パリ ☀| 乗り物(モペット・車) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。