2011年02月12日

TRAUMARISという名の涅槃にて

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本日、3回目となるトラウマリスでのライブシリーズ「女が人生の舵を取るとき」。

ここでのライブは、ちょっと他とは違う。たぶんそれは、オーナーの住吉智恵さんが、アートのプロフェッショナルな上、私のような人の形を成しているのがなかなか大変なアーティストをこよなく愛してくれるから、思い切り、自分の作るものへ挑戦できる環境が揃っているからなのだと思う。さしずめ、智恵さんが釈迦で、トラウマリスはアーティストが成仏できる涅槃なんだなあ、きっと。

ところで、今回は連休の中日ということもあり、ライブ直前まで予約のお客様が異様に少なかった。それにたじろいで「いっそのこと、延期にしてしまおうか…」とおじけづいた日もあった。というのは、私は歌を歌って太鼓を叩くアーティストであるのと同時に、ミュージシャンを従える運営者でもあるから。これは、個人事務所を作ってから現在までの、常なるジレンマでもあった。ところが、その凹んだ日に、はっとした。自分は運営者側になりすぎている。ここで、一度運営なんてくそくらえな社会性のないミュージシャンに戻らねば、音楽も頭打ちになるだろうと思ったのだった。それからいきなり、気が楽になった。少ないお客様、それも結構。思い切り、今できる最高のものをやろう。そう思った途端にいろんなアイディアが浮かんできて、今までにない、何にも媚びないセットリストが出来上がり、本日を迎えたというわけです。

今日の見所は、先日のリハ中に自然発生的に出来た新バンド(とはいえ、メンバーはギターの円山くん、ウッドベースの岩見くん、そして私、とまったく一緒。笑)Sphinx-スフィンクス(ピラミッドの横にいる、猫みたいなあいつです。)の初お披露目が1曲入っていることかな。ずっとやりたかったミニマル・インプロヴィゼーションバンドが、ようやく形になりつつあるのだ。意外にもバンド、という形を自発的に今まで作ったことがない私。この事件とも言うべき出来事は、ピラミッドの横で、ひとり何千年も座ったままで、旅に出たいであろうスフィンクスと同じくらい、私の中で切望していたことなのかもしれない。

ところでインプロヴィゼーションの醍醐味とは、ライブの中のライブ、まさに一度しか演奏できないその`現場´感にあるように思う。ミュージシャンが、互いの奥底に持つ、それぞれの音楽歴に深く探りを入れながら、呼応どころを打ち鳴らし合う。その鳴った音に、互いが惚れ合い、喜び合い、テンションはどこまでも高く舞ってゆく。今日は、まず手始めとしてはなかなかいいものだったんじゃないかと思うけれど、もっともっと遠くまで行けるだろう。そう思った。そうだ、ピラミッドの横で飽き飽きしているあいつが、世界の果てを見に、ついに旅へ出たのだ!

それでね、本当にライブを延期しなくてよかったなあと思ったの。そして、なんでもやってみなくちゃわかんないんだってことも。もしも、このライブを延期していたら、私は大きなものをつかみ損ねて、この週末を過ごしていたのだもの。些細なことも、大きなことも、まだ起きていない事柄は、怖い。でも、怖がっちゃだめなのだ。自分の中の、まだ見ぬ新しい領地へと旅を続ける。それこそが、生きている意味なのだと思うから。

ところで、このライブには「女が人生の舵を取るとき」というディープなトークショーがついている。相手役は、人生の獣道をよく知るイラストレーターのsinoちゃん。今日は大姐・智恵さんの体験談も飛び出して、次の4回目には一体何を話せばいいのだ?!というところまで、いってしまいました。男も女も永遠の愛もワンナイトセックスも、すべて悩みで出来ているものだけど、大事なことは、強くしなやかでいることだろうね。しなやか、には、矛盾と余白のスペースがあって、他者も自分も追いつめずに、けれど軸がぶれないところを探り当てるという、なかなか高度な技がいるけれど。

次回は、おそらく4月頃!今回来れなかった方、ぜひ、恵比寿の涅槃へいらっしゃい。



Photo1. 現在TRAUMARISで開催中の、湯沢英治さん展覧会「BAROCCO」の骨の
    映像インスタレーションと一体化して、演奏しました。`彼の骨を拾いに 
    森へ行く´ーTABACの森が、不思議な臨場感で迫ったはず。

   2.人生の獣道をゆく三人の姐御による、ディープなトークショー。
     かなり具体的に、迷える女子を救います。

   3.バンド名Sphinxは、2005年のモレスキン展のために描いたこの絵から
     インスパイアされて、独断と偏見で決めました!
    





posted by 猫沢エミ at 00:00| パリ ☁| 音楽日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする