2011年02月17日

人生、それがリッチ。

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今日は朝7時起床から、息をつく暇もないハイテンポなスケジュール。

夕方まで、こまねずみのようにくるくる仕事をしてから、代々木体育館で開催されている服飾関係の展示会`rooms22´へ。H.P. FRANCEが主催しているこの展示会だが、なぜファッション業界でもない私がインヴィテーションをもらえるのかといえば、社長室長のノダさんと懇意、という一点につきるのだ。そのノダさんと会場のある明治神宮前駅でばったりお会いした。なんだか以前にまして若々しい雰囲気。聞けば、骨董通りの裏手に`東京十月´というバーをオープンしたのだとか。どうりで。日々疾走する人は、双子のパラドックスみたいに、歳取るのが遅くなるのかも。光の速さで仕事しているわけじゃないんだけど、ただ一点に滞っている人よりは、きっとずっと人生が長く楽しめるのだと私は思う。

さて、今回の`rooms22´は(私の視点が少々ずれているかもしれないが)音が抜群によかった。エントランスで流れていた爆発的な大音量の心音と、この日行われたパーティーで、スペシャル・ライブアクトとして登場した、ベンジャミン・スケッパーの音楽世界が圧倒的だったのだ。ベンジャミンくんは、私の友人の友人にあたり、今回もその友人からライブのことを聞きつけて、この日にやってきた。ハープシコードとチェロとたくさんの剥製に囲まれた彼の風貌は、わかりやすく言えば、バロック世界からやってきたジョニデ。エフェクターを巧みに使ったその音楽は、歴史的にはもっとも古く、そしてスタイルはもっとも新しいものだった。つまり、バロック音楽を、スティーヴ・ライヒのミニマル・ミュージックのごとく昇華させたような独創的なもの。確かな知識とテクニックで、彼の指から繰り出される正確無比なフレーズは、純度の高い清潔な音のリボンとなって、代々木体育館の美しい天井に広がって行く。久しぶりに、魂が体を超えて音と一体化してしまった。

ずっと聴いていたかったけれど、泣く泣く次の現場、Bonzour Japonの年間特集企画会議へ。会議の後、発行人ゴトウヒロシ氏と神楽坂のバーにて、久しぶりに呑み。日々、奔走する自分の生き方に迷いが生じる…てえなことを、ワイン片手に話していたら「猫ちゃん、自分がさ、有閑マダムみたいに求めなくても金も時間もあまってて、暇を持て余してると想像してみ?エステ行って、高いランチ食べて、もうすることがなくなってさ。楽しくないでしょ?あなたにとって。」そうねえ…お金も時間も腐るほどあるのって、ない現在からすると夢に近いけれど、何かが腐食してしまうんだろうと思う。「やりたいことがあって、やらなきゃいけないことがあって、毎日髪振り乱して奔走する人生。豊かじゃないの。人生、それがリッチというものだよ。」と、ゴトウ氏は宣った。

お金で買えるものも、お金でないと買えないものもある。けれど、お金で買えないものは、どこにも売っていないのだから、まず買いたいものを自分で作るところから始まるのだ。それが何なのかをわかった上で、欲し、駆け回る人生が、結局のところ、一番豊かなのだろう。ただ、その`駆け回り´が激しすぎると、時々自分自身と、自分の行いの価値を見失う。そんな時、自分と同じ方向を見ていて、しかも自分のことをよく見ていてくれる人の言葉に、きゅっと軌道が戻る。

私たちは同じBonzour Japonという夢を見ている。創刊して3年を過ぎた小さなフリーペーパー。不況という荒海の中、良いと思うことしかやらない雑誌。その主旨が曲がらぬよう、携わっている人たちはいろんな不便を強いられたりもするけれど、それこそが、お金で買えないリッチ、なのかもしれない。


夢を見よう。その夢が見続けられるよう、自分を支えよう。支えているときの姿は決して美しいものでなくとも、きっと髪振り乱して働く自分は、美しく髪を整えた自分をもっと輝かせるだろうと信じて。


● Benjamin Skepper
http://www.myspace.com/benshaman

● Bonzour Japon
http://bonzour.jp


Photo1: なんだろう。このものすごくそぎ落とされてブレのない、
    シンプルの極みから生まれる複雑な世界は。
    サイモン・フィッシャー・ターナーの
    「カラヴァッジオ」にも通じる色と匂いを感じた。

   2:Bonzour Japonのドン、ゴトウヒロシ氏。
   「猫ちゃん、人生それがリッチ。」


    

   

posted by 猫沢エミ at 00:00| パリ 🌁| Bonzour Japon | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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