2011年04月16日

TRAUMARIS ライブ〜人は皆、舵ひとつで大海原を行く



新企画♡猫沢エミのフランス語教室-N°1 @渋谷LIAISON 2011年4月24 日(日)初回は、日本未公開のクロード・シャブロル作品!



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そもそもライブというものは、読んで字のごとく`生き様を2時間ばかりの間に見せる´行為だから、私の場合、前日あたりからエネルギーをぐっと溜め込みに入る。そのため、ナーバスにもなるし落ち着きもなくなるのは仕方のないことなのだけど、場数を踏んでずいぶんと溜め込み時間も短くなってきた。


そんな前日のこと。ある企画が地震の影響で頓挫した。この、地震がなかったらおそらくGoしていたであろう仕事は、やってみたい魅力的な企画だったから、頓挫の連絡を受けて、激凹んだ。15分ばかり。最悪の15分間、情けないことに私はめちゃくちゃになった。情けない、と書けるのはもうすっかり浮上してしまったからであって、15分間当時は、完膚なきまでに落ちまくった。それで、この地震でどれだけ多くの人が仕事被災したのだろうと思いを馳せた。海外に暮らす日本人とて例外ではない。この非常事態を逃れ、悠々自適に暮らしていると思ったら大間違いである。パリの友人の多くが、少なからず日本を相手にした仕事をしていて、大きなプロジェクトから小さなものまで、のきなみ頓挫して痛い…という話を聞いたばかりだった。しかし結論、相手が自然災害ならば仕方が無い、のである。(原発は別)仕方がないのなら、さっさとこの話は過去にして、前を向かねばいけない。


そうして一晩がすぎて、本日。今度はまた別の衝撃が走った。これも、地震がなければ受けることがなかった衝撃だった。まずい。こんな気持ちでは歌など歌えるはずがない。最速で浮上するのだ、するのだ。でも昨日のこともあるし、いくらなんでも2コ目は無理…と思っていたら、2時間ばかりで復活した。やるじゃないか、自分。

そうして、ギターの円山くんと機材を積んで、今日の会場TRAUMARISへ向ったのだ。車中、震災後のチャリティーコンサートにかり出されるミュージシャンのあり方について話が盛り上がった。「結局さ、今だけじゃなく、こうゆう支援を年単位で続けて行かなくちゃ意味がないわけじゃん?そしたらさ、やる側のミュージシャンがちゃんと食っていける、っていう根本がなってなかったらだめだよね。」と、まるさん。その通りです。今日のTRAUMARISライブは、義援金をあくまでチケット代とは別の募金、という形にした。この方針は、震災直後に今後のライブの義援金のあり方について、オーナーの住吉智恵さんと話をして決めたものだった。私も智恵さんも、そしてまるさんもまったく同じ意見だったのだ。


TRAUMARISに到着して、いつものように機材をセッティングして、黙々と準備をする。昨日今日と溜め込むはずだったエネルギーは、仕事被災によってぜんぶ流れてしまったから、私はTRAUMARISのコンセントを借りて携帯電話を充電するかのごとく、短時間でぎゅっとエネルギーを溜め込んだ。時間までに間に合うかどうか不安ではあったが。でも、間に合った。私の中にあるバッテリーはフル充電され、お客さんの前に立った瞬間、そこには神によって陸地をすべて沈められた地球と、無限の海に浮かぶノアの箱船の風景が広がっていた。


1曲目の`Noah’s Ark´−ノアの箱船に乗れなかった女の子が、海へと沈んで行く、死者への鎮魂歌からライブはスタートした。そして、アンコールのThe end of the world。この歌を、ここまで魂を込めて歌ったことがあっただろうか。


君とふたりで眺めた海はもうない
君とふたりで泳いだ海はもうない
赤く滲んだ夕焼けは まるで熟しすぎたトマト
僕の一番嫌いな野菜

おしゃれな服はどこを探してもない
好きな映画はもう二度と観ることない
君は酸素マスクの中 少し苦しそうに笑う
まるで昔咲いてた ほんとの花のように

風にふかれてる 僕ら吹かれてる
匂いも味もない この世界
君の大好きな ソフトクリーム
どこへ行けば売っているのかな

犬も家族もとっくに消えたしね
君とかわいいベビーを作りたいな

だけど心配事があるよ 僕は君の愛し方を
ずっと前に忘れてしまった 教えてよ

キスのやり方とそれ以上のこと
僕は見たいのさ 何も無い
ゼロの世界から生まれる命
君とふたりして 作るのさ



滅亡と再生の讃歌。命の尊さと愛の強さを謳う歌。私は歌手になって、今こうして生きていることを、自分の中だけに存在し、誰とも共有できないはずの本当の神に感謝した。


ライブの後、トークショーの最強の相方・イラストレーターのsinoちゃんと、今回は震災後ということもあって、いつもよりもグローバルな話を展開した。災害を通して、日本の政治、原発問題などをフランスのそれらと対峙させながら。お客さんも積極的に会話に加わって頂き、とても意味深い、いい時間が流れた。日本には、まだまだこうした日常の中に`討論´が足りないなと思う反面、今回のことで、人生の様々な苦難をどう乗り越えるか?をテーマにしたこのトークショー付きライブが、とても重要な意味を持つ企画であることを再確認できたんじゃないかな。しかし、サルコジマニアのsinoちゃんが、セリシアに逃げられた直後、サルコジが公の放送の場で「セシリア、帰って来てくれ!」と半べそかきながら懇願したって話には笑った。首相もただの人間ですよ。それは別として(そらフランス国民は一瞬呆れたろうが…笑)有事には、目の冴えるような決断・即決力を見せるのが、リーダーってものではないですかね?ぐだぐだの日本のリーダーたちよ。(くだらないゴシップをつつく、幼稚なマスコミにも多いに問題あり。)


トークが終わり、TRAUMARISにはいつのごとく、5人の女たちだけが残った。
80年代音楽をかけて、アホのように踊った。そうだ、生きる価値とはアホになれる時間をどれだけ持つかだ。アホ時間を持つために、日中アリのように働くのだ。凹んで、凸って、泣いて、笑って。あら。昨日と今朝の落ち込みは、波のように去って遠い過去のものになってしまったよ。山を超えるときは、いつもひとりぼっち。けれど、超えた山の先には、かならず温かい仲間たちがアホ踊りして待っているのだ。


本日のライブで、¥13,186の義援金が集まりました。ここへ、CDなどの売り上げの一部を足した金額を、日本赤十字社を通して、被災された方々へ送ります。ライブにお越しくださった皆さん、心からありがとうございます。

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2日前の誕生日をTRAIMARISスタッフさんたちが覚えていてくれて、ケーキが登場!ありがとう〜(涙)


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今回は、深く広く白熱しました`女が人生の舵を取るとき´略して女舵トークショー。どんどんやって行きますよ!






posted by 猫沢エミ at 00:00| パリ | 過去のライブ情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする