2012年10月28日

私が知っている孤独について2、3の事柄 in Paris.


Emi NECOZAWA & Sphinx-Trio @TRAUMARIS・恵比寿(限定50名様)
2012 年12月22日(土)
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夕べ0時に、冬時間へと切り替わったパリ。1時間繰り下げられて、これで日本との時差は8時間になった。そもそも飛行機に12時間乗ってパリへ着けば、日本より8時間過去に戻ってしまうタイプスリップ感に加え、夏は1時間繰り上がり、冬は繰り下がるなどしていると、なんだかもうわけがわからなくなってくるわけですが。

昨夜は、冬時間を狙い定めたかのように、がくんと気温が下がった。それでもまだ10月中だから、日が長めだなと思う。ここからどんどん短くなって、最短では6時間くらいしか昼間がない本当の冬がまもなくやってくる。北欧しかり、緯度の高いヨーロッパの人々は、太陽への異様な憧れを持つけれど、その気持ちがわからなくもない。この時期になると、急に元気がなくなるフランス人の友達を見かける。“寒い、暗い、日が短い”のネガティヴ3点セットは、動物的なラテン人の生気を奪う。私はラテン人でもないし、もともと北育ちだから、冬の家籠りの静かな内向感が嫌いではない。けれどやっぱり、夏の興奮にごまかされていた「課題」が、冬になった途端に輪郭を増して現れ、孤独について考えたりし始める。“となりの芝生は青く見える”どころか、時にはゴールドに光輝いて見えるものだが、たぶん、日本から見たパリの世界もそんなふうに見えているんじゃないかと想像する。

フランスでの暮らしは、一言で言えば “自分のことは基本的にすべて自分でなんとかする。そこには感情の処理も含まれる。” である。もちろん日本でもそうだとは思うけれど、日本人のそれはもう少し、自治体やら家族やらその他、人間関係の日々の助け合いによってなんとかなっている感がある。特に、処理しきれない感情を互いが請け負ってあげるところなんかも。かたやフランスの《個人主義》とは、親友だろうが、恋人だろうが、家族だろうが、元はひとりひとり別な生き物の集合体であり、どんなに深く情を交わし合っても、絶対的な存在の孤独とは手を切れないのが大前提だ。(さすが、実存主義を円熟させた国ですな。逆を言えば、こうゆう土壌だから実存主義がムーブメントになったのだろうね。)

フランスで暮らすとは、何よりもまず、感情処理を人にゆだねない、孤独であることが大前提だなと思う。孤独である、ということは友達やら恋人がいないとかそうゆうのとはちょっと違う。もちろん両者いた方が孤独感は薄まるし、いろいろごまかしがきくのだけど、それとは別の、もっと個につきまとう根源的なものだ。

長くパリに暮らす日本人の友達には、この2つを受け入れた姿を見る。加えて、外国人という弱い立場で、言葉を覚え、フランス人の考え方を理解し、働き、稼ぎ、ヴィザを更新している。それをクリアできて、はじめてフランスでの素晴らしい暮らしを享受する。日本に思いを馳せながらも、日本よりもより自分で人生を決めることができるこの地に居場所をこしらえる。何もフランスに来た人すべてがここに合っているわけではないし、一生住まねばならないわけではないから、ほとんどの人が数年で帰国したり別の国へ居を移す。それは、その人の適正と判断で決めるべきことだ。

ちなみに、長くフランスに暮らす友達たちが、みんな強靭な精神の持ち主というわけではない。たしかに、彼らは強い。孤独を美しい踏み台にして、しっかと立っているように見える。でも、もちろん人間だもの普通に寂しくなったり、孤独を感じることもある。寂しくて誰かに電話をかけたり、会いに行く事もあるけれど、だらだらとそこに居座らない覚悟も見てとれるのだ。それを眩しいと私は思う。すがすがしい個の孤独がそこにはある。自分であり続ける事。自分で人生を選択し続ける事。それが公然と許された大人の国では、自由とセットで孤独がついてくる。自分の力以外で守られて、ぬくぬくと幸せを感じながら、けれどこれがなくなってしまったら何も残らない恐怖におびえるよりも、はじめから何も持たずに負の側面を舐めるように見てここで暮らしてきた友達には、野生動物のような力強さを感じる。何を自分の「財産」とするか?Qualité de la vie=人生のクオリティーを推し量るとき、なによりも自分の満足度、選択した自分への支持を掲げるフランスではすくなくとも、お金がすべてではないことは確かだ。


今、私の部屋(ギャラリ−だけどw)には、そんな友達のひとりから預かった猫がいる。部屋はオイルヒーターでとても温かい。夜には、仕事仲間のフランス人宅でミーティングディナーが入っている。そして私は今、晴れ晴れとした冬の孤独に包まれている。






posted by 猫沢エミ at 21:03| パリ | パリ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする