2011年11月12日

ヤア!ヤア!ヤア!ピガピンジェリがやって来た −N°1


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ブログがまったく書けなくてヤキモキしていたのだけど、10月中は、もうブの音も出ぬほどの激忙で、今回ばかりはよく心身ともに保ったなあと感心する。そうして、11月に入ってフランス映画教室を終えたあたり、ようやく夏から続いた激しい日々に待望の一区切りが訪れ、再び忙しさを増す今月末までのアイドリング期間に入った。

びっくりしましたよ。身体のぼろけ具合に。笑 そりゃそうだろうよ。平均睡眠3〜4時間。これを丸3ヶ月間続けてたら、どんなに丈夫な人も参るだろう。(激務を重ねるたびにポイントが溜まる“からだマイル”があったなら…嘘です。)途中、様々な疾患におそわれ、付け焼き刃に駆け込む病院では「あなたに差し上げる薬はありません。とにかく睡眠時間を確保してください。話はそれからです。」と、どこへ行っても言われ続けた。ごもっとも。と思いつつ、人には睡眠時間を削ってもやらねばならぬ時があるっていうのも事実で、私はまさにその渦中にいた。苦しかったのは身体ばかりではない。心も。

ピキを亡くして早1年半が経とうとしていた。毎晩、遺骨を抱いてキスして、傍からみれば怖い40すぎのお姉さんでしかなかったろう。ただ、1周忌までは絶対に他の猫を飼わないと決めていた。決めなくても、飼う気持ちにもなれなかった。1周忌どころか、もう一生ピキのように心を通わせる付き合いを他の猫とできるか、まったく自信が持てなかった。それでも、何人かの友達に「仔猫がいるので、飼わないか?」という相談を持ちかけられて、縁があったら…とも思っていたのだけど、頂いたありがたい仔猫の写真を見ても、皆ものすごくかわいいのに正直ピンとこなかった。彼らは、わりと素性のいい猫たちで、私が手をあげなくとも、他にいい飼い主が見つかるだろうと思っていた。そして、それはその通りになった。

激務期をあと少しで抜ける10月のある日、ツイッターで仔猫の里親募集のリツイート記事が目に止まった。それは、私のファンの方がリツイートしてくれたものだったのだけど、さかのぼって行くと4人の人にリツイートされて、ここまで来たものだった。たどり着いたブログにはかわいい茶トラと黒の仔猫2匹が紹介されていて、ごく普通にものすごくかわいい茶トラは、ほぼ目に入らず、なんだか暴れてぶれている上に、目ん玉ひんむいて絶叫している黒い仔猫にロックオンされた。
(そのブログがこれw→http://advantagelucy.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30-1

「…いた!」この出会いの感覚は、言葉では説明するのが難しい。簡単に言えば「ピンときた」ということなのだけど。胸がどきどきしてすぐにでもダイレクトメールを出してしまいたかったけれど、猫を飼うということは、ひとつの猫生を預かる重大なことだから、直感だけで無責任には決められないと思い、一晩考えることにした。次の日の朝、シャワーを浴びていたら、突然あの熊五郎みたいな黒仔猫の顔がぱっと浮かび、半裸のままPCにかじりついて、メールを書いている自分がいた。それからしばらくして、仔猫を保護して育てている女性から、とても好意的なメールがやってきた。って、ほんとどうかしていると思うんだけど、そのときまで気がつかない私の記憶力の後退具合が心配だが、その保護している女性は、advantage Lucyのアイコちゃんだったのだ!advantage Lucyは、私がコロムビア時代に東芝EMIからレコードを出していた、とても素敵な音楽を奏でるユニット。そのヴォーカルのアイコちゃんと共に、ファッション誌「Zipper」で、フリスビー投げ合いっこファションフォト撮影を一緒にしていたりした。私の中ではっきり気持ちが決まった。今年に入ってからというもの、10〜20年前に生き別れ?になった親しい人たちに、各所でばったり再会する嬉しい事態が続いていて、そのどれもがとても良い形で仕事や親交に繫がっていた。アイコちゃんとも、このことがなければもう二度と会えなかったかもしれないのに、黒い仔猫が縁を繋いだのだ。

アイコちゃんは、茶トラと黒を、いつか里親に出さねばならないと知りつつ、ものすごく愛情をかけて丁寧に面倒みてくれていた。これが、どんなに難しくて勇気あることなのかは、猫と一緒に暮らしたことのある人ならば、すぐにわかるだろう。だって、信じられないくらいかわいいんですよ、仔猫というものは。私ならば、1日一緒に居たらもうアウトだ。事情がどうであれ、絶対に手放せなくなる自信満々。アイコちゃん宅にはすでに2匹の猫がいて、2匹ともひどい状態で発見保護した猫たちなのだという。そのうちの一匹、ほぼ目の見えない白黒のハイジちゃんという猫が、2匹の仔猫のお母さんがわりをしてくれて、舐めて毛づくろいをしてくれたり、遊んでいるとき、どのくらいの加減で相手を噛めば許せる範囲内なのか?など、人間では教えることがとても難しいコミュニケーションの最初期教育を施してくれていた。ハイジちゃんが現在、尿結石用のごはんを食べている状態で、先のことをいろいろ考えると、里親を探した方がいいという結論に行き着いたのだという。

しかし、私の前に先に仔猫をどちらか一匹引き取りたいという方がいて、その方が、黒を選んでしまったらもう諦めるしかないのだった。もう、この先は神様が決めることだな…と、私は腹をくくってお知らせを待った。真夜中のクラブで「茶トラがお婿に行くことになりました。」というメールをもらったときの嬉しさと言ったら!

いよいよ会いに行く日がやってきた。その前日に、「気が合ったらそのまま連れてっちゃってもいいですよ。」というメールがアイコちゃんから送られてきて、なんだかとても複雑な気持ちになった。本当は離れたくないに決まっているだろうけど、もしかしたら1日でも早く手放してしまった方が気持ちに踏ん切りがつくと思っているんじゃないだろうかって。嬉しい気持ちと同じくらい、アイコちゃんの気持ちが痛いほどよくわかって、ぐらり心が揺れる。揺れまくるまま、もう二度と使わないかもしれないと思ってクローゼットの奥深くしまい込んだ猫キャリーバッグを取り出し、アイコちゃんと猫たちの住む街へ出向いた。電車に乗っているとき、バスに乗っているとき、ピキと暮らした幸せな日々を思い出して、あんな日々がまたやってくるなんて信じられないと思い、あまりのリアリティのなさに手に汗を握る始末。バス停にアイコちゃんが迎えにきてくれていて、私たちは13年ぶりに再会を果たした。ぽつぽつと、あれからのことを話して、お互いいろんなことがあって、今も音楽を続けていた。辞めてしまうアーティスト友達もたくさんいる中で、今もadvantage Lucyがやりたいことを貫いてくれていることが、ものすごく嬉しかった。

そして、ついに黒仔猫と対面した。うんとちっちゃくて、意思がはっきりせず、正直言うと初対面の印象はさほど強いものではなかった。(これが後の2、3日で劇的に変化するのです!)どちらかというと、黒仔猫を面倒見てくれている白黒のハイジちゃんに、ピキの優しい面影を見出してしまい、このお母さんかわりの猫から、子供を引き離すのかという罪悪感と哀しみにおそわれた。それは無論アイコちゃんに対しても。夕暮れ間近になった頃、アイコちゃんとハイジちゃんに厚くお礼を伝え、私は黒猫ピガピンジェリとふたり、新しい人生のバスに乗り込んだ。そう、男の子の黒仔猫の名前は「ピガピンジェリ」と名付けた。

私が昔から温めている、猫と牛が活躍する世紀末冒険ファンタジー小説で、主人公のカワラという女の子の相方として登場する、スコットランド人の男の子の名前(笑)長いから普段は「ピガ」と呼ぶことにしよう。優しく、ジェントルで、頭のいい、凛とした男へと育ちますように。世界の誰よりも、私を守ってくれるナイトとして。



● この日の様子を、アイコちゃんもブログに書いてくれました。
 http://advantagelucy.blog.so-net.ne.jp/2011-11-11#more

● ピガのこと、もっと頻繁に見たい!知りたい!という方は、ツイッターで
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 しています。
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posted by 猫沢エミ at 19:18| パリ 🌁| ピガピンジェリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする