2011年01月13日

茹でたまご


Quand la femme tient la barre de sa vie N°2−猫沢エミライブ&トーク@TRAUMARIS  2011年1月22日(土)
限定50名様限り、ご予約は急いで。`人生の舵をどう取るか?´トークショー付きの
大人気シリーズです!


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寒いですねー。

きのう、パリのMAC-graffitiアトリエとスカイプしていたら、「こっちは10℃だよ。」と聞いて意外。いや、お天気なんてすぐに変わるものだから意外もなにもないのだけど、11月のパリ滞在時があまりに寒かったものだから、そのイメージがぬぐい去れなかった。日本は今…(と、ベランダのマイ温度計を見に行く。)3℃!こりゃ寒くて当然だわ。以前もブログで書いたけど、私の勝手な研究結果によれば、本気で寒いと感じる気温の境目は6℃。これを下回ると、ヒートテック類が必要な感じです。

寒い夜中に突然、茹でたまごを茹でる。冷蔵庫にすぐ食べられるおかず類を欠かさないようにして、外食や偏食を防ぎたいから。茹でたまごで作るのは、タルタルである。これひとつ作っておけば、朝ごはんもぱっと食べられるし、外出時のサンドウィッチもすぐに作れる。私は茹でたまごを剥くのがとても下手だ。料理は大好きだけど、これもまた意外なところで苦手なのである。なぜかいつも、たまごの内側の薄皮がつるつるの表面にへばりついて、無理にはがそうとしてたまごががたがたに剥けてしまう。

あー、性格が出ているなと思う。苦手なことに向かうとき、つい心が荒がる。その荒がった気持ちがそのままたまごに表れる。今日は、心が荒れないように気をつけて、丁寧に剥いてみた。たまごはうそのようにつるりと剥けた。こうして、とても小さなことから自分の弱点と向き合うのだ。大げさかもしれないけれど、小げさでもある。小さなことは大きなことを生む。だからこうして、特別じゃないいつもの生活を丁寧に紡ぐ。ほころびを見つけては、繕う。それはそのまま、自分自身の小さなほころびを繕うことなんじゃないかと思うのだ。



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2011年01月10日

舵取りデイズ。

Quand la femme tient la barre de sa vie N°2−猫沢エミライブ&トーク@TRAUMARIS  2011年1月22日(土)
限定50名様限り、ご予約は急いで。`人生の舵をどう取るか?´トークショー付きの
大人気シリーズです!



いやー、すみません!今年初のブログにて`現在放浪中´が、思いの他皆さんにご心配をおかけしてしまいまして、方々から「無事なのか?!」というメールを頂く事態となってしまいました。現在は家に戻り、普通に暮らしております。そして、今後の人生の舵取りについてあれこれ思案中。

ところで人は、急激な環境の変化や、ダイレクトに凹む`お金がな〜い´`仕事がな〜い´という事態に出くわすと、誰でも思い切り不安になって自分の価値や軸を見失うもの。偉そうにいろいろ書いている私も、まだまだ未熟な御年40歳の人間でして、やはり同じかそれ以上に凹んでみたり、胃が痛くなるわけです。そこをどうぐっと堪えて前に進むかは、人それぞれ様々な方法があると思うのだけど、先日もメトロの駅で`人身事故のためダイヤが乱れております。´の一文を見て、そうか〜…と思わずつぶやいてしまった。

こんな物質社会に生きていると、野生動物の`今日獲物が捕まえられなかったら餓死するかも。´という危機感とは別の次元に生きているような錯覚に陥りがちだけれども、人も、物質社会というサバンナで生きる、一匹の獣に他ならないのだとしみじみ思う。食えなかったら最後は死ぬ。とてもシンプルで残酷な生の掟は、地球で生きるすべての人の肩に常にのしかかってくるのだ。気候の変化で今まで簡単に捕食できていた動植物がある日突然、食べられなくなった場合、その環境の変化にすばやく対応して別な物を食べるだとか、食べ物がある地域に移動するということをパッと選択できたやつが生き残る。現実を受け入れられずそこに留まれば、命取りになることもある。

でも、そんなことわかってるけど、俺は、この草原で生まれてここが大好きで、離れたくないんだい!と思った獣が居たとする。自然界ではそんな甘えに乗じるやつはいないようにも思うんだけどね、まあ居たと仮定しよう。そいつの気持ちもよくわかるし、もしかしたら移動した先で洪水に巻き込まれて死んでしまう未来から、居残ったことで助かるかもしれない。でも、ここに居続けたら餓死してしまうかもしれない。この、`かもしれない。´無数の予想をどう選択するかで、人生はずいぶんと変わってしまう。その、変わってしまうことを知りつつ、それでも何かを選択しなくてはいけないことは、とても怖いことなのだ。だけと、やらねばならぬ。生きるということは、選択の連続だから。だから、生きることはとてつもなく怖く、またそれを乗り越えてゆくことでしか得られない自家発電的なエネルギーでしか、自分の人生は動かすことができない。東京電力が発電してくれた電気を買っても、人生は動かないのよね。

舵取りは難しい。だけど、上手になんかやらなくてもいいのかもしれない。大事なことは、決して自分が手にした舵を離さないことだ。そうすれば、切らねばならぬ一瞬に出くわしたとき、本能でカッと切るチャンスを得られると思うもの。

私も、これを読んでいるあなたと同じく、大海原で舵を握りしめて、震えながら前に進んでいる。




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2011年01月01日

Bonne Année 2011

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みなさん、明けましておめでとうございます。今年もますます猫沢エミを宜しくお願い致します。

と、普通のご挨拶をしてはみたものの、ここのところ日記がアップできなくてごめんなさい。理由(と書いて、わけ、と読む。)あって、ただ今放浪生活中でありまして、なかなかハードな年末年始となってました。人生には、なにひとつ起こる可能性のまったくないものはないわけでして、それはつまり、自分にはまるで関係がないと思っていた予期せぬ不幸な出来事も、またそれに反した夢や願い事のような遠い存在のものも成せば成るという両方のことなのだと、身をもって体感している最中です。

ところで、突然の女放浪記は、当初、かなりしんどいものだと思っていた。そもそも生活というものは、明日の自分が少しは予想できる安心感で成り立っているものだけど、それがまるで見えないとなると、残るのは所在のなさと不安だけ…と、思いきや、行く先々に、自分がそこにいるならではの愉快な出来事もちゃんと巻き起こり、「なあんだ。私が私でいる限り、どこにいようが、私の人生はちゃんと続いて行くものなのだ。」ということが再確認できたりして、なかなか面白い。

そんな出来事のひとつが、突発的な真夜中のきもの撮影であった。パリで知り合ったきもの作家のペコちゃんこと高橋理子ちゃん(`ソロモン流´で特集されてましたね。)が、先日の某夜、連載している雑誌の中で自分のきもののモデルをして欲しいと連絡をくれた。詳しくは話せないのだが、自分は今、放浪中で、しかもその撮影の期日がとても迫っているということなので、最初はお断りしたのだが、「じゃあ、今からその放浪先へ出向いて真夜中の撮影をしてしまおう!」ということになり、そうだな、そんな勢いが今の私には最も必要かもしれないと思い、心よく受けることにした。ペコちゃんの作ったモダンなきものを着た私は、気がつけば、真夜中のうっすらとした街灯の下に立ち、カメラに向かって眼力を放っていた。

そうだ。これもまた、意味ある予定調和なのかもしれない。一本だけだと思い込んでいた自分の人生が二本や三本に枝分かれしても、その先には、きちんと未来の自分がなんらかの形で待っていて、しかも、予想外の新しい世界をもたらしてくれる。今こそ自分を信じねばならない時だろう。たとえば世界中の誰一人、自分を見ていてくれなくとも、自分だけが自分を見続ける必要のある時。そんな大事な時は、人生の中で誰にも一度や二度はやってくるものだ。私の場合、その`時´が、人よりも多いというだけで。

さあ、新しい年の幕開けだ。2010年は大きな別れや悲しみが押し寄せた年だった。私の身体の中は、今、家主が引っ越した直後の家のように、たくさんのスペースがある。そこへきっと、新しいものがやってくるだろう。

とても大きな、そして大切なターニングポイントに、私は今、風に吹かれてひとり立っている。






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2010年11月09日

戦場ミュージシャンの猫沢です。


すびません。ここのところ、ブログを書く時間を作ろうにも作れぬ怒濤の状況が続いている、戦場ミュージシャンの猫沢です。

7日のライブはかつてない大盛況!など、早くリポートをお届けしたいところなのだけど、明後日はもうパリへ向かう飛行機に乗っているなんて、誰が信じられようか?なこの状況。飛行機に乗ってしまえばこっちのもんだい!とばかりに、機内でかたかた書く予定なので、今しばらく待ってね。

ところで`パリへ行く´という一言には、無条件で「わー、いいなあ。」という声がついてくるものですが(実際、楽しみなのはもちろんです。)が!仕事で行く我が身は、パリとつきあい出してから、わくわくどきどき新しい服のひとつも新調して…なんていう、夢の旅立ちとはほど遠い、髪振り乱しての出国が常。今回も、なんとかまずは、成田へ向かうリムジンバスに乗って、こっくりこっくり居眠りするのを夢見てにゃんばります!

他のジェットセッターは、もっとスマートなのだろうか?(だろうねえ。)ああっ、せめてコンビニのおにぎり(シーチキン)は、バスに乗る前に買いたいなあ。


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2010年11月02日

サンタクロースの椅子


Quand la femme tient la barre de sa vie−猫沢エミライブ&トーク@TRAUMARIS
2010年11月7日(日)東京・恵比寿
おかげさまを持ちまして、チケットは完売しました!ありがとうございます。
       →http://necozawa.seesaa.net/article/166163561.html

 急告・TRAUMARISサイトのライブ告知部分で、当日のライブ開始時間が20時、
 となっておりましたが、こちらは誤りです。訂正してお詫び申し上げます。
 18:30開場、19:00スタートです!



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まずは、毎日が超高速回転で過ぎてゆく、ここ数日の近況から。

Oが急な海外出張のため、台風を心配しながら旅立つ。そして、昨日は3時間睡眠の後に朝から打ち合わせで都内を駆け巡り、第20回ドゥ・マゴ文学賞の授賞式へ出席。今年は審査員の堀江敏幸さん選考による朝吹真理子さんの`流跡´が受賞。数年前、この授賞式に呼んでくださったことがきっかけで、仲良しとなった選考委員会の藤江さんの司会進行の勇姿を、まるで父兄参観日の母のような気持ちで見守る。同じく呼ばれたスノッブ・ミウラくんと、カフェ・ドゥ・マゴのおいしいお料理を食い散らかし、昨年のBunkamura`文学カフェ´イヴェントでお世話になった堀江さんにも久方ぶりにご挨拶できた。その後、ミウラくんと共に、バー・ミュージックでおいしいコーヒーリキュールを呑みながら、思わず深い人生談義後、よろよろと家に帰り、力尽きるまで仕事後、泥のように眠る。

ところで先日、ジョンブルのプレス、上田さんと呑んだとき、感慨深い話をした。

私は大学の頃、音楽心理療法学という講座をとっていたのだけど、あるとき、児童文学の金字塔`エルマーの冒険´(ルース・スタイルス・ガネット著)のすばらしい日本語訳をされた渡辺茂男さんがゲスト講師として招かれ、講演をされた。タイトルは`サンタクロースの椅子´という感じのものだった。(ごめん、うろ覚え)

渡辺さんは言われた。「子供の頃にサンタクロースとか、ドラゴンとか、いるはずのない架空の生き物を心底いる、と信じることが人間には必要なんです。その数が多ければ多いほど、子供の心の中に、椅子ができる。大人になってゆくと、なあんだ、サンタクロースなんかいないじゃん。と、そこに座っていた架空の生き物たちは消えてしまいます。でも、それまでその椅子を温めてくれたサンタクロースのお陰で、人は、大人になって愛を知った時、今度は本当に大事な人をそこに座らせることができる。」

それを聞いた当時、私は未熟な大学生だったけれども、泣けてしょうがなかったのを覚えている。今でもこの話をすると、涙が溢れてしまう。多分、一生消えることのない、素晴らしい考え方を渡辺さんに頂いたように思う。という話を上田さんとなぜしたのかといえば、人間、誰かと別れたり、ひとりになると妙に寂しくなり、この椅子に適当な人を座らせてしまいがちだ、ということからだった。この椅子に、その価値に見合わない適当な人を長く座らせてしまうと、椅子の輝きはどんどん落ちてしまう。最後には朽ち果てて、大事な椅子は消えてしまうのだと私は思う。そこに座るのは、人でない場合もあるだろう。自分の仕事や、自分の哲学だったり、良く生きようとする志かもしれない。だから、孤独であることをマイナスに思ってはいけない。誰も座る人のいないときこそ、その椅子を丁寧に磨き、読んだ素晴らしい本を置いたり、映画を置く事もできる。あるいは音楽や絵でもいい。そうして、椅子ときちんと向き合った末に、それに見合う大事な人がやってきて、心地よく座るのではないかと。

私の場合、椅子の数が多すぎて、有象無象の大事なものが座っている気がしますが。(笑)
久しぶりに、渡辺さんの言葉を思い出して、ほったらかしになっている椅子を、もっとちゃんと磨こうと思った次第なのでした。


Photo. 載せようか載せまいか迷ったのだけど。笑
    ドゥ・マゴ賞授賞式は、この日貸衣装に蝶ネクタイ姿で
    現れたスノッブ・ミウラくんの奥ーの方でちっちゃく
    光っているところで行われています。



   




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